中教審委員として前回と今回双方の指導要領改定に携わり、私立有名進学校を経営する「渋谷教育学園」の田村哲夫理事長(71)は、ゆとり教育の目指したものについて「教育の目的は不測の事態への適応力をつけるための訓練。高めるには知識などの学力が3割、意欲や思考力などが7割-が心理学の定説だ。前回の改定は、学力訓練に注力しすぎた教育をただすためだった」と位置づける。
だが、「時間を減らしたら、教える側が何もしなくなってしまったのが実情。できた余裕が現場でまったく生かされず、マイナスだけが出てきた」と、今回、30年ぶりに授業時間増に転じる理由を説明する。
だが、「時間を減らしたら、教える側が何もしなくなってしまったのが実情。できた余裕が現場でまったく生かされず、マイナスだけが出てきた」と、今回、30年ぶりに授業時間増に転じる理由を説明する。
今年1月16日、東工大のシンポジウムで有馬氏は、ここでも「学力が下がっていると言われるが、全く下がっていないことを証明する」と言い切り、「理工系学生の学力・学習意欲の低下が問題化している」と“弱気”なあいさつをした主催学生を勇気付けた。
有馬氏は、昨年10月に文部科学省が発表した全国学力調査の結果などを引用し、小学校6年生の漢字で「(魚を)焼く」と正しく書けたのは70・9%で昭和39年調査の33・8%を大幅に上回ることなどから、「義務教育段階での知識型学力は落ちていない」とする。
一方で中学で学ぶ2次方程式を解ける大学生が3割しかいない例をあげ、「大学はガタ落ちだ」とも認める。
学力が身についていない。応用型の国際学力調査などで成績が伸びていない現状は否定できない。
有馬氏は、昨年10月に文部科学省が発表した全国学力調査の結果などを引用し、小学校6年生の漢字で「(魚を)焼く」と正しく書けたのは70・9%で昭和39年調査の33・8%を大幅に上回ることなどから、「義務教育段階での知識型学力は落ちていない」とする。
一方で中学で学ぶ2次方程式を解ける大学生が3割しかいない例をあげ、「大学はガタ落ちだ」とも認める。
学力が身についていない。応用型の国際学力調査などで成績が伸びていない現状は否定できない。
記事を抜粋してみたが、だいたいの導入の経緯も、その後の予測違いもこんなところだろう。しかし、教育制度が青少年の有り様に大きく影響していることは否定しないが、むしろ、常に社会の変化に遅れて教育改革が行われていくことを考えると、実はいつも社会の方が先に行っている。
校内暴力にしても家庭内暴力にしてもいじめにしても、大きな社会問題となってから、教育改革に手をつけるというパターンだ。教育が生きる力や個性尊重といった時点で、社会(あるいは子どもの世界)はもっと先の問題を抱えていた。だからゆとり教育が元凶なのではなく、常に遅れている教育改革こそ問題なのだ。大胆に時代を先取りした改革こそが必要なのではないだろうか。
教育は100年の計とはよく言ったものだ。私は、むしろ今の子どもたちのもつ可能性を信じて、先取りした教育こそ必要だろうと考えている。われわれの子ども時代よりも、感性が豊かで表現することにおいても長けた子が多いし、ある意味で因習や常識に縛られない自由な発想ができる子どもも増えている。それが、豊かになったということでもある。
豊かになり精神性、道徳性を失ったと見るか、豊かになり自由な発想やなんにでもなれるという可能性を持てたと見るか、その両面はあろうが、世界を見たときに、日本が恵まれていることは間違いない。今も子どもたちは希望がないどころか、その気になればチャンスがいっぱいある。
ゆとり教育(ゆとり教育といって始めたわけではなかったが)を始めた時もやめて学力重視に転換した時も、いつも目の前の子どもの可能性を信じてあげられず、悪い面(問題)にばかり目を向けて対策(!)するから希望がない。希望は信じてあげるところから生まれると思うがいかがだろう。
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