3月はアカデミックイヤーが終わるのと同時に学校会計の決算の時期でもあります。
学校会計は企業会計とずいぶん異なりますが、近年、企業会計に近くなってきていました。
もともと単年度主義なわけです。たとえていえば、かつての八百屋さんは、店先に下がったザルに売り上げが入り、仕入れもそこから出し、新聞の集金がくればそこから出す。一日の収益は残り。という単純なものです。ただ学校は利益は出さず、基本金の形で積み立てていける仕組みです。当然、非課税。
だから税金も払わずに資産の運用などはとんでもないと思うのですが、ここ数年のアメリカのうかれ具合はハーバード大学方式ともてはやされ、福沢諭吉先生の慶応義塾だけでなく、国立大学の学長までが、それが理想だとのたまうわけです。
さすがにハイリスクは具合が悪いからミドルリスクでなんて。
ところが、リーマン、金融危機で、状況は一変。
大学は関係ないと思っていたら、いきなり駒澤大学が校地を担保に入れて市中からデリバティブの清算のために150億円を借入。その後も名古屋の方で2大学ほどが損失を出したと報じられました。
大半は、評価損は出しているけど、償還日まで待てば丸ごと帰りますからといういいわけで逃げているわけですが、
さて 決算。
そんな矢先。
本日の日経新聞に私学振興共済事業団のアンケート結果が出ていました。
4年制大学を持つ541法人を対象にした1月のアンケート結果です。82%の441法人が回答ということですが、まず気になるのは回答のない18%。
関係ないと回答しなかったところがあるのかもしれませんが、回答できない状況のところも当然あると推察されます。 まず、ここに火種が一つ。
次にデリバティブ取引を行っていると答えた法人が15%の65法人。(ついでに株式保有は30%の131法人、これだって相当な評価損を出していると考えられます。これが見落としがちな火種の2番目ですね。)
デリバティブ取引を運用益を得ることを目的に積極的に行っていた法人が30法人。
「当面の法人運営に大きな支障が生じる恐れがある」という回答が8法人。
さらに
現実に「生じている」が4法人。
「教育研究に大きな支障が生じる恐れがある」が11法人。
「生じている」が2法人。
上記の「生じている」という法人が火種の3番目かな。
各大学の決算が明らかになる5月ごろに、これらの火種がどうなっているのか。
少し、追いかけていくことが必要なようです。
もちろん定員割れのこともあり、経営にダブルでパンチを受けているところがあると予測されますね。
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