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昨日、私が募集広報を担当している大学の一般入試前期の入学手続きが終了した。ほぼ読みどおりの数の手続きがあって、今、ほっとしている。
歩留まりの読みと合格最低点から合格者を決定したが、本当に予測どおり手続きしてくるかは、正直なところ結果が出るまでわからない。何度も書いたが、特に
今年の入試は、予測ができない。実際、先週末までなかなか手続きが進まず、何度か歩留まりを読み間違えたかと不安のどん底につき落とされそうになった。
ほぼ予測どおり手続きがあったということは、読みどおり、マンモス大学は結構合格者を絞って発表しているということである。
手続き状況から見えてくる今年の入試について少し書いておきたい。本学は2月の頭に一般入試を行ういわゆる「滑り止め校」の位置づけである。ウチの入試を
受けて合格を手に入れて、その後2月の第二週に集中する中堅マンモス大学を受験するというのが、受験生の行動パターン。-最近、これが崩れている。という
のは、2月の頭にマンモス私大が入試日を持ってくる傾向が強くなっていて、滑り止め、本命の区別がつかなくなってきているからである。-しかし、本学の手
続き状況をみる限り、まだこの行動パターンは健在のようだ。
マンモス校の発表を待って、不合格であった場合、本学に手続きしてくるわけである。
だから、どうもマンモス校で不合格者が出たということである。少子化で受験生が減っているのに、不合格者が出るというのはどういうことだろうか。実は、合
格倍率が、次の年の偏差値に関係する。偏差値が高いということは競争がある大学ということで、人気を左右する。これが、実に微妙なさじ加減で、下手に倍率
を上げると次の年に受験生が敬遠することになる。そして、一度このサイクルに入ると、受験生数が年ごとに上がり下がりする「隔年現象」というパターンには
まることになる。全入時代になった時に、競争が存在しない大学になると、マンモス大学の場合、かなりつらい。学生の質が確保できないので、大教室での授業
が成り立たなく危機感がある。だからプライドとしても、教育の成立という問題からしても、倍率の出る入試を行わざるを得ないわけである。そうなると入学者
数の確保が厳しくなるので、裏で推薦入試で人数確保をやっていくことになる。結果、推薦やAO入試と一般入試で入ってくる学生とのギャップという問題を抱
え込んでしまう。これを解消するために、今大学ではリメディアル教育という高校までの補習授業が盛んに行われるようになっている。ちょうど浪人生が減って
講師がダブつき気味の予備校がこれを請け負うケースが増えている。高校までの12年間のツケを大学が払わされているとリクルートの『カレッジマネージメン
ト』という雑誌が書いたことがあるが、まさに、そのとおりの実態である。
何はともあれ、今年の入試も山を越えた。さらに、予測が正しければ、3月入試(後期入試)でも、受験生はいるはずである。予測が正しいことを信じて、今度は出願数に一喜一憂する日々が続く。
例年、この時期のサンデー毎日、週刊朝日の売り物といえば大学入試情報と高校別合格者速報と相場は決まっていた。これは調査も大変で取材費、調査費も膨
大にかかるものなので、おそらく、かなり売れていたから可能なのだろう。ところが、今年はさっぱりそうした見出しを見かけない。どうしたのだろう?大学受
験に大きな変化が起こっているに違いない。
この前の日曜日スタバでコーヒーを飲んでいると、受験生らしき男子二人組が入試について話しているのが聞こえてきた。なんでも、一方の男の子は3日連続
で上智大学を受験したらしい。受験校数がいくつか知らないが、受験生の平均から考えるとあと1校か2校しか受けていないはず。ということは、この受験生は
「上智一本絞り」の可能性がある。無謀と思えるが、実はこのことが示しているのは、受験テクニックの著しい低下だ。昔なら、本命の前に滑り止めを受けて合
格を得ておき、じっくりと本命、そして最後にチャレンジの早慶をというのが、まあ常識的に受験指導であった。
いくつかのポイントがあると思うが、
1)まず、高校の進路指導力の低下があげられる。目まぐるしく変わる大学入試状況、特に入試制度の変化についていけなくなっている。新設大学、学部の情報を整理するだけでも大変だが、時代を先取りしているのであろう訳のわからない学科名の理解など無理とあきらめが目立つ。
2)教育して送り出すという責任も怪しくなってきている。というのも学内推薦基準などをきちっと設けて送り出していこうと思っても、一方でAO入試などの青田買いで、まったく学力のない生徒が受験勉強もせずに大学に合格していく。
3)これに加えて親の口出し。生徒がひ弱になっている分、親も発言力が増している。それに逆らうものなら学校が訴えられかねない。大学の入学式についてく
るのは当たり前。うちの大学などオープンキャンパス参加者の2割から3割は保護者同伴、入試相談コーナーでも子どもは一言も話せず、親がまくしたてる。こ
ちらも思わず「受験されるのはお母さんですか?」と嫌味のひとつもいってみたくなる状況。
もちろん、大学側にも、少子化の中でのサバイバルという重い事情がある。つい、入学者の確保にのみ目が奪われて安易な入試選抜を行っているのも事実。いっ
そのこと無選抜にして、成績管理を厳しくしてドロップアウトもやむなしという、いわゆる「ユニバーサル・アクセス」という方向も考えられなくないが、世間
に残る偏差値信仰の中では、無選抜の方向は、人気急落になりかねず、危なくて取れない。そこで、考えられたのが、指定校など、裏で推薦入学者数を増やし、
一般入試で合格者を絞り、倍率を上げ、結果予備校が出す偏差値をアップさせるという戦略。これはほとんどの中堅マンモス私大が取っている方法である。だか
ら、一般入試は、大学入学が簡単になったといわれている割に、不合格者が多い。
今年の注目点は3月入試。前から、全入時代になると3月まで受験生は残らないといわれてきた。しかし、上記のことから考えて、私の予測では、意外と3月
まで合格を決められない受験生が残るはずだ。さてどうなるか、1ヶ月後の結果が楽しみだ。また、この結果起こる問題が不本意入学と仮面浪人という問題。大
学1年で止めていく学生は学力不振よりも、大学への失望という理由が多い。多くの大学が、学力のない学生に振舞わされて、成績上位の学生の授業満足度を上
げることができないのである。
受験生諸君には、最後まで健闘されることを心から祈る。
土曜日に入試が終わり、今日は合否を決める判定会議。一般入試の場合、複数の大学を受験するのが普通(これを併願校というが、最近では目に見えて減ってき
ている。3.8校くらい)なので、合格を出しても入学手続きするとは限らない。合格者に対して入学手続き者の割合を「歩留まり率」と呼んでいるが、この読
みが入試担当者の一番苦労するところ。毎年、前年の割合を参考にえいやーで決めるが、ここ3年ほど、毎年予測をはずす。学部、学科後毎に傾向が違うので、
本当に難しい。
今日その合否判定を行った。合格発表後、入学手続き期間に入るが、本当に歩留まり計算どおり手続きしてくるか、眠れない日が続くことになる。それでも、読みをはずした場合の次の策を考えておかなければならず、悩んでばかりはいられない。
さて、今年は如何に。前のエントリーでサンデー毎日の今週号の表紙が見物(みもの)であると書いたが、案の定、大学入試関連のタイトルはなかった。やはり今年は大変動の年のようだ。予備校サイトを見てもセンター入試分析など例年になく、あっさりしている。
昨日でウチの大学の一般入試前期試験が終わった。小さな大学なのでご他聞に洩れず、受験生の確保には苦労をしている。とにかく少子化で受験生がいない。入
学者の確保ができなければ、経営にかかわってくるので、どこの大学も早めに入学者を確保できる推薦入試やAO入試にかける比率が高くなる。関東ではまだほ
とんどの大学が推薦入試は一校しか受けられない専願制をとっているので、確実に学生が獲得できる。そうなると一般入試に向かう人数が18歳人口が毎年5万
人づつ減るという少子化もあいまって、益々減ってくる。
一般入試は受験生一人が平均3.8校くらい受けるので受験生数でこそ100万人以上いるように見えるが、実は実受験者はそれを3.8で割った数なのだ。こ
のことは入学者数を入試別に見るとはっきりする。全国平均で6(一般入試):4(推薦・AO)くらいの割合になっていて、高校3年生の12月までに4割の
生徒が進学先を決めていることになる。
ただ、これは全国平均の話であって、地方の小さな新興大学(設立20年くらいまで)の場合は、推薦・AOの割合が7割、場合によっては8割に達する。一
方、首都圏のブランド大学には受験生が集まるので、一般入試の比率は高いままである。完全に選抜の残る大学と無選抜で入れる大学の二極化が進んでいるとい
える。聖書にある「富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる」という福音書の言葉からMatthew’s Law
(マタイの法則)というのがあるが、まさに今の大学の置かれた状況は、これにあたる。
今日と明日、大学一般入試前期(試験日自由選択制)が行われ、監督補助でついている。受験生の緊張感で久々に試験問題を解いてみたが、問題が頭に入ってこ
ない。うーん年取ったなあと感じた。2年くらい前TOEICの試験を連続して受けたが、その時も問題を読むスピードが落ちたと感じた。TOEICにせよ入
試にせよ、問題を解くスピードが重要で、このコツをつかんでいるかどうかが結構重要だったりする。
入試で問う学力とは何か。今度じっくりと考えてみようと思う。
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