例年、この時期のサンデー毎日、週刊朝日の売り物といえば大学入試情報と高校別合格者速報と相場は決まっていた。これは調査も大変で取材費、調査費も膨 大にかかるものなので、おそらく、かなり売れていたから可能なのだろう。ところが、今年はさっぱりそうした見出しを見かけない。どうしたのだろう?大学受 験に大きな変化が起こっているに違いない。
この前の日曜日スタバでコーヒーを飲んでいると、受験生らしき男子二人組が入試について話しているのが聞こえてきた。なんでも、一方の男の子は3日連続 で上智大学を受験したらしい。受験校数がいくつか知らないが、受験生の平均から考えるとあと1校か2校しか受けていないはず。ということは、この受験生は 「上智一本絞り」の可能性がある。無謀と思えるが、実はこのことが示しているのは、受験テクニックの著しい低下だ。昔なら、本命の前に滑り止めを受けて合 格を得ておき、じっくりと本命、そして最後にチャレンジの早慶をというのが、まあ常識的に受験指導であった。
いくつかのポイントがあると思うが、
1)まず、高校の進路指導力の低下があげられる。目まぐるしく変わる大学入試状況、特に入試制度の変化についていけなくなっている。新設大学、学部の情報を整理するだけでも大変だが、時代を先取りしているのであろう訳のわからない学科名の理解など無理とあきらめが目立つ。
2)教育して送り出すという責任も怪しくなってきている。というのも学内推薦基準などをきちっと設けて送り出していこうと思っても、一方でAO入試などの青田買いで、まったく学力のない生徒が受験勉強もせずに大学に合格していく。
3)これに加えて親の口出し。生徒がひ弱になっている分、親も発言力が増している。それに逆らうものなら学校が訴えられかねない。大学の入学式についてく るのは当たり前。うちの大学などオープンキャンパス参加者の2割から3割は保護者同伴、入試相談コーナーでも子どもは一言も話せず、親がまくしたてる。こ ちらも思わず「受験されるのはお母さんですか?」と嫌味のひとつもいってみたくなる状況。
もちろん、大学側にも、少子化の中でのサバイバルという重い事情がある。つい、入学者の確保にのみ目が奪われて安易な入試選抜を行っているのも事実。いっ そのこと無選抜にして、成績管理を厳しくしてドロップアウトもやむなしという、いわゆる「ユニバーサル・アクセス」という方向も考えられなくないが、世間 に残る偏差値信仰の中では、無選抜の方向は、人気急落になりかねず、危なくて取れない。そこで、考えられたのが、指定校など、裏で推薦入学者数を増やし、 一般入試で合格者を絞り、倍率を上げ、結果予備校が出す偏差値をアップさせるという戦略。これはほとんどの中堅マンモス私大が取っている方法である。だか ら、一般入試は、大学入学が簡単になったといわれている割に、不合格者が多い。
今年の注目点は3月入試。前から、全入時代になると3月まで受験生は残らないといわれてきた。しかし、上記のことから考えて、私の予測では、意外と3月 まで合格を決められない受験生が残るはずだ。さてどうなるか、1ヶ月後の結果が楽しみだ。また、この結果起こる問題が不本意入学と仮面浪人という問題。大 学1年で止めていく学生は学力不振よりも、大学への失望という理由が多い。多くの大学が、学力のない学生に振舞わされて、成績上位の学生の授業満足度を上 げることができないのである。
受験生諸君には、最後まで健闘されることを心から祈る。
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