あけましておめでとうございます。
昨年暮れに突然立ち上げたブログ「大学サバイバル日記」、今年もよろしくお願いします。
私は最近、会う人ごとに「革命は辺境地から、改革も周辺から」といっています。共産革命はマルクスが革命が起こると予測したロンドンでは起こらずに辺境の地ロシアで起こりました。
同様に大学改革もマンモス伝統大学ではなく、意外と周辺で起こるのではないか、いやその萌芽はありはしないか。
「
貧すれば鈍す」ではなく「
窮鼠、猫を噛む」というか「
死中生あり」の精神で、知恵を出している大学が少なからずあるはずです。
今年は、それらの大学を見出し、広報のネットワークを広げていきたいと考えています。
「宣伝」や「広告」ではない「広報」こそが、大学の個性を輝かせるものです。そして、大事なことは「物量」ではなく「知恵」です。
最近、ソニーコンピュータサイエンス研究所の北野宏明氏の講演を聴きました。生物学で「ロバストネス」という新しい考え方があるのですが、その研究者です。システム生物学(システムバイオロジー)という新しい分野の提唱者でもあります。同じソニーコンピュータサイエンスの茂木健一郎氏がクオリアという概念を作ったように、北野氏は生物をシステムとして理解するという取り組みを行い成果をあげています。本として「したたかな生命-進化・生存のカギを握るロバストネスとはなにか」北野宏明・竹内薫著がダイヤモンド社から最近でました。
さてその「ロバストネス」ですが、日本語にすると「頑健性」「堅牢性」という訳になります。しかし、日本語の訳ではうまく伝わらないのですが、生物がいかに進化の過程で生命の危機を乗り越えてきたか、その仕組みを研究していくと、この「ロバストネス」という考え方にたどり着くというのです。そして、それを読み解くと「冗長性」と「多様性」にカギがあります。
サバイバルということを単純に考えると強いものが生き残り弱いものが死ぬという弱肉強食の世界に見えますが、実は適者生存であって、必ずしも強者生存ではないのです。
弱いからこそ生き延びられたという例は進化の過程の中に多く見られます。氷河期にあって体温の維持が難しかったネズミのような小動物は寄り添って生き延びました。
多様な仕組みと一見無駄な仕組み(冗長性)が大切であるとロバストネスの考え方は教えています。メガバンクに統合されたようにメガユニバーシティーになったのでは、大学教育システムの柔軟性が失われるでしょう。
そんなことを考えながら、今年が明けました。
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